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2011年11月27日

「まるで恋だね」国縫戦

【お題】
だゆんとやっちの『手遅れだね』という台詞を使った「ロマンティックな場面」を作ってみましょう。


いやなことがあっても、二人に癒される(笑)

   ↓

のるか、そるか。

いくつかの小隊が山の木陰に見え隠れする。
挑発されている。男はそう思った。

義弟、蠣崎蔵人は相手の奇襲隊にまんまとやられて退却を余儀なくされた。
二度も同じ手を使ってくるのか。まさか。いやしかし。
守りに抜かりはないが、相手の数手先を読もうと地図を眺めては、何度も頭の中で駒を転がす。
そして思い出される、蔵人から聞かされたときの、あの衝撃。

「兄者、大将はシャグセンではありませんぜ……庄太夫というシャグセンの娘婿、ただの金堀だそうだ」

蔵人を打ち破った様、そして今の戦況。
勢いに任せて攻めてくるだろう蝦夷たちにしては、やけに戦略的だと思っていた。
ただの金堀。果たしてそうだろうか。
そしてなぜ、我々と同じシサムが蜂起の主謀となり、松前に牙を剥いたのか。
戦術とは別の思いが胸を占めていく。はっと我に返り頭を振る。

奇襲隊がどこに潜んでいるか……山も海も見る。
木陰に見えた小隊は、待機しているもの、退却していくものがあった。

「その誘い、のってやる」

松前泰広は不意に心が踊るのを感じた。


「応えてくれて嬉しいよ、でも手遅れだね……」

山頂から野を見下ろす、義兄の独り言をカンリリカは聞き逃さなかった。

「庄……」

呼ばれて男が振り向く。独り言が聞かれたのを悟り、おどけてみせた。

「おれのおしり、魅力的かな?」

「ちょっ」

思いもよらない冗談に赤面する義弟に指示を出した。

「カン君、シルっちとおチクに伝えて。出番だよって」

カンリリカは頷くと早々と林間に消えていった。

羽織ったカパラミプの刺繍をなぞりながらシブチャリを思う。
シブチャリで生きる道を選んだ仲間のこと、愛する妻のこと、死なせてしまった親友のこと。

今こそひとつになり、立ち向かうとき。
あんな悲劇を繰り返したくない。その元凶を叩き潰す。
決して口にしてはいけないその名を、男は心で呼んだ。

(オニビシ……君が与えてくれた機会、無駄にはしないよ)

合戦の予感に恐怖と興奮が入り交じり、身震いする。
動き出した黒い小隊を眺めながら呟く。

「松前のトノ……おれはここにいる。早く会いにきてよ……」

シサムとしての自分を見せつけられる相手が現れたことに庄太夫はただひとり、密かに、悦んだ。


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